
まず、大前提として、もっと新しい、いろいろな方向のものがあったら良いなあ、と思いました。今回はその枠を越えてくるものは少なかったですね。それから意外だったのは、手書きの作品が多かったこと。コンピュータをつかって描かれた作品が多いのかなって予想していたんです。いや、ぼくもやっぱり手書きが基本だと思うし、好きなのですが、でも今の世代ならではのCGを駆使したものももっと見てみたかったですね。それでは、各作品の講評に入ります。
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このひとは抜群ですね。自分の中に自分のキャラクターというのが、ちゃんと生きている。いくつも持ちキャラがあって、そのキャラをこういうスタイルにして、こう動かして、こんな仕草をさせると良いとか、そういう設定がすでに出来上がっている描き方。同じキャラクターでも、それこそ俳優・女優のように演じさせて、違う世界観で違う魅力を出させることもできるんじゃないかと思いました。
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イラストを構築していく上での最初のステップは、まずはキャラクターを一生懸命描くこと。自分の中の「かわいい」だったり、「かっこいい」だったりを追求することです。それができたら今度は、そのキャラにどんな仕草をさせるか、どんな場所に立たせたらいいか……という風にどんどん広げて息づかせていく。そうしたら、たぶん描き続けていくうちに自然に「この笑顔はどんなときに誰に向けられてるんだろう?」というようなこだわりがどんどんでてくるはずなんですよ。
キャラのみを描いているときは、ウィンクをしている瞬間とか、それだけで成立するんだけど、背景が入った瞬間に、カメラアングルも関係してくるし、「いつ・どこで・だれと」という情報も加わってくる。たとえば、ウィンクしているうしろで大爆発が起こっていたとしたら、「そんな中でもウィンクするようなすごい余裕のある女の子なんだ」っていう魅力も表現できますよね。どういう組み合わせで、シーンを描けるかどうかが重要……というか個性になっていくんです。
漫画というのがフィルムのようだとすると、イラストは写真。一瞬を切り取っていくわけです。自分が、どの瞬間にキュンとくるか、そのタイミングを探り続けて欲しいです。挿絵という意味でも、文章をそのままトレースするのではなくて、その絶妙なポイントみたいなものを、テキストとイラストの間で共鳴させられていたら、良い本になるんじゃないかなあと思います。
■選者プロフィール
1959年生まれ。アニメーション監督。大友克洋監督「AKIRA」の作画監督を経て、監督となる。独自のサイバーSFが国内外のアーティストから注目を集め、03年には「アニマトリックス」の「Beyond」がハリウッドで絶賛されるなど、世界がその才能に注視する映像作家。最新作は08年8月公開「Genius Party Beyond/時限爆弾」。

みなさん、たくさんのご応募ありがとうございました。今回の募集は、賞として選出するのではなく、ガガガ文庫で一緒にお仕事をしていけるようなイラストレーターさんと出会えたら、という目的で行われました。新しいレーベル「ガガガ文庫」への期待を表わすかのように、枠にとらわれない自由な作品がたくさんあり、編集部員一同、大きな刺激を受けました。森本氏に選んでいただいた方々をはじめ、ご応募いただいたイラストレーターのみなさんの中から、各編集部員それぞれが「これからつくる小説に起用したい!」と思った方には、ガガガ文庫からお仕事をお願いするご連絡をさせていただくこともあるかと思います。その時には、ぜひともよろしくお願いします。
※受付は終了いたしました。たくさんのご応募ありがとうございました。